No.292 他人の庭先を勝手に通るプログラマー

ITコラム
2019年4月3日

ISO 飛鳥 石橋一史によるITコラム
~帝国ニュースに掲載されたものを紹介していきます~

 仮想通貨を得るための[マイニング:採掘]は、大量のパソコンを揃えた大規模の設備が必要だ。しかし賢い奴(?)が、自身のサイトを閲覧した第三者のPCに無断でマイニングプログラムを移植していたとして「不正指令電磁的記録保管」の罪で起訴されていた。

争点として、弁護側は「プログラムが、閲覧者のPCに無断で指示を送るのはネット広告と同じで、仮に不正だとすれば多くの(広告)プログラムが犯罪となる」、検察側は「マイニングがおこなわれていることは、閲覧者に知らされておらず、ウイルス(の一種)にあたる」としていたが、27日、無罪の判決が下った。判決文によると、このプログラムは閲覧者の同意を得ていないことから「人の意図に反する動作をさせるプログラム」としながらも、消費電力は微少で捜査当局から注意喚起や警告もなかったことから「社会的に許容されていなかったと断定できない」としている。

これがウイルスにあたるかどうかは議論の分かれるところだが、消費電力の料金などではなく、常識として「営利目的で他人の設備の無断使用」が許されるはずはない。他人の庭先に無断で近道する行為と同じで、場合によっては犯罪を引き起こす可能性もある。

判決を受けた者は「ひと安心という気持ち」と述べていた、我々は安心などできない。